研究検査科は、大きく分けて2つの部門に分けられます。
- 検体検査部門(2階):生化学検査、免疫検査、血液検査、輸血検査、一般検査、病理検査、細菌検査など
血液や尿・喀痰などの検体を分析装置や顕微鏡を用いて検査を行う検査部門 - 生理機能検査部門(1階):心電図、脳波、呼吸機能、筋電図、超音波検査など
患者さんの体の状態を直接検査し、波形や画像などへ情報化して検査する部門
検査部門の認定資格者
当院検査科では、通常の業務に加えて、各自専門性を高めるため、様々な資格取得にも積極的に取り組んでいます。
超音波検査士 | 消化器 | 2名 |
循環器 | 2名 | |
体表 | 1名 | |
血管 | 1名 | |
細胞検査士 | 4名 |
(令和6年1月現在)
- 当院では平成30年10月の検査部門の移転を期に検体検査部門の大部分の機器を刷新すると同時に採血室との距離も近くなり、正確な検査データを提供に加えて、採血から検査結果返却までの時間を短縮することにより患者様の診察までの待ち時間の短縮に努めています。
- また共用基準範囲を導入しています。これは、多くの医療機関で採用している検査値の基準で、他施設で検査された結果と当院で検査した結果を比較することが可能となります。*(*一部の項目で対応していない項目もあります)
日本医師会精度管理の成績
令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 |
97.5点 | 99.8点 | 99.8点 | 99.8点 |
総合検査室
自動分析装置をワンフロアに集約することにより、迅速性と効率性の向上に努めています
生化学・免疫機能検査 肝機能・腎機能・電解質・糖・脂質などの生化学的検査の他、感染症・腫瘍マーカー・内分泌などの免疫機能検査・血液ガス・血中薬物濃度検査を短時間で行うことにより、患者様の病態をあらゆる角度から検査することが可能です。 |
血液検査 血液検査では赤血球・白血球・血小板の数を計測します。赤血球(RBC)やヘモグロビン量(Hb)を測定することで、貧血の種類や程度がわかります。白血球(WBC)の増加や減少は細菌やウイルス感染の有無、アレルギー疾患、血液疾患の指標となります。 |
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グリコヘモグロビン検査 糖尿病治療には欠かすことのできないグリコヘモグロビン(HbA1c)検査。変異ヘモグロビンの検出も可能です。 |
止血検査 術前に患者さんが出血傾向であるかどうかの確認や抗凝固療法の治療モニターとして測定されます。また、肝臓の障害や血管の中で血液が凝固する病気の診断にも有用です。 |
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輸血検査 安全で適正な輸血の為、血液型検査、不規則性抗体検査直接・間接クームス試験の他輸血する血液が患者様に適合するかどうかを調べる交差適合試験を行っています。 |
一般検査 尿糖・尿蛋白や便の潜血などもこちらで検査しています。その他、胸水・腹水・脳脊髄液・関節液などの基本的な性状を調べます。 |
糖尿病指導室
当院では、自己血糖測定(SMBG・CGM)に係る機器の取り付け、測定の指導および検査結果の説明などを行っています。 | 糖尿病患者指導 |
病理検査室
病理検査には、組織診、細胞診があり、各臓器の一部や細胞を採取して標本を作製後、それを顕微鏡で観察することで最終診断を行います。
組織診断
組織診検査は、内視鏡、手術材料から組織を採取し、良性、悪性を鑑別し診断を行います。また、新しい抗癌剤である分子標的治療薬の治療効果予測として、これらの標本を用いてコンパニオン診断が行われています。
正常の大腸組織 |
大腸癌の組織 |
細胞診断
細胞診は、喀痰、尿や胸水などから細胞を集めて標本を作製し検鏡により主として癌細胞を見つける検査です。このため、比較的苦痛を伴わない検査として健診にも利用されています。
胸水に出現した肺癌細胞 |
病理標本作製室 |
微生物検査室
微生物(細菌やかび)は、地球上のいたる所に存在しています。食品や医薬品に利用される有益な微生物も多くありますが、人に対して病気を引き起こす微生物(病原微生物)もいます。
微生物検査は、検体(喀痰、尿、血液など)を顕微鏡で観察することや、培養することで、病原微生物をつきとめ、有効な治療薬を調べる検査です。また、微生物の遺伝子を調べることで、培養に時間がかかる菌(結核菌など)を短時間でつきとめることが可能です。
塗抹検査
痰や尿、膿などを染色液で染めて、顕微鏡で観察し、病気の原因となる菌を見つける検査です。
培養検査
培地(菌の発育に必要な栄養分が入っている)で培養することで、病気の原因となっている菌を分離し、発育してきた菌を調べます。
結核菌は発育が遅く、分離までに数週間から2ヶ月近くを要することがあります。そのため、発育促進剤を添加した専用の液体チューブで培養します。
同定・薬剤感受性検査
治療薬(抗菌薬)の効果は、菌の種類によって違います。病気の原因となっている菌の種類を解明し、どのお薬が良く効くのかを専用の装置を用いて測定します。
遺伝子検査
結核菌や非結核性抗酸菌は、培養検査ですぐには発育してきません。(約1~6週間程度かかります)
そこで、痰の中にこれらの菌の遺伝子があるのかを調べることで、短時間で原因菌をつきとめます。
生理機能検査室
当検査室は中央診療棟1階にて検査を行っています。 生理機能検査とは、心電図や超音波(エコー)検査のように直接患者さまの体に触れて検査する生体検査のことを言い主に次のような検査を生理機能検査室で実施しています。 |
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心電図検査
心臓が動く時に発生する微弱な電気を体表に配置した電極によって増幅し記録した波形が心電図です。不整脈や狭心症、心筋梗塞などの診断に有用な検査です。また安静時には現れない心電図の変化を調べるために簡単な運動をして検査を行う負荷心電図検や小型の機械を装着して24時間心電図の記録を行うホルタ―心電図も実施しています。
呼吸機能検査
肺の大きさや空気を出し入れする換気能力を調べます。身長と年齢と性別から予測される値と患者さんが実際に検査した値を比較するスクリーニング検査の他、必要に応じて精密検査も実施しています。
脳波・神経検査
脳波検査は頭皮上の決められた位置に電極を配置し、微弱な活動電位を増幅して記録します。主にてんかんの診断、治療に活用されます。痛みのない検査ですが、電極の装着に約30分、脳波の記録に約30分と合計で1時間程度かかります。検査後は洗髪室をご利用いただけます。
神経検査は腕や足の運動神経及び感覚神経に弱い刺激を与え、その伝わり方を調べる検査です。導出された波形から障害部位の検出と神経機能の客観的な評価を主な目的としています。神経に刺激を与えますので、若干の痛みを伴います。
誘発電位(ABR・VEP・SEP)検査は弱い電気や音、光などで刺激を与え、それにより起こる神経や筋肉の反応を測定します。視覚(VEP)、聴覚(ABR)、体性感覚(SEP)に関与する神経機能の評価を目的としています。
超音波(エコー)検査
人の耳には聞こえない周波数の高い音を体の表面から体内に送り、臓器に反射して戻ってきた音を画像にしたものが超音波(エコー)検査です。被ばく のおそれや痛みのない安全な検査です。心臓の動きをリアルタイムに観察する心エコー検査、脂肪肝や胆石・膵がん などを調べる腹部エコー検査、頸動脈や足の静脈瘤、血栓を調べる血管エコー検査など様々な検査に対応しております。
当検査室では日本超音波医学会の認定を受けた超音波検査士2~3名が常時対しています。
ABI検査
ベッドに仰向けで寝ていただき、両腕と両足首に血圧計を巻きます。四肢の血圧を同時に測定することによって下肢の動脈の詰まり具合(狭窄・閉塞)を検査します。
ヘッドアップティルト検査
起立性低血圧、体位性頻脈症候群、神経調節性失神、めまいなどの自律神経の異常を確認するため臥位から傾斜位の状態に起こし、そのままの状態に保ちながら連続的に血圧や脈拍の推移を観察する検査です。検査には約40分程度かかります。
終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を調べるための検査です。睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素飽和度、睡眠中何回呼吸が止まったか、また何秒止まったかを知ることができます。自宅で検査ができる簡易検査と睡眠時無呼吸症候群である可能性が高いと判断された場合にはさらに詳しく調べる精密検査があります。
精密検査は睡眠中の呼吸状態、血液中の酸素飽和度に加え、脳波や心電図、筋電図、いびき音、眼球の動きなどさまざまな生体現象を同時に記録します。1泊入院していただき検査を行います。「大きないびき」や「睡眠中呼吸が止まっている!」と指摘されたり、日中眠くなる、記憶力が低下しているなど気になる症状がある方は外来でご相談ください。